
本日ご紹介する映画は実話をモチーフに作られた「サニー32」です。
あの実話を基に作られた最恐映画「凶悪」コンビ、白石和彌監督と脚本家高橋泉が再タッグを組んで作られた作品で、犯罪史上最もかわいい殺人鬼と言われ、ネット上で神格化された殺人犯の少女「サニー」を信奉する男たちに誘拐・監禁された女性教師の壮絶な運命を描いたサスペンスドラマです。
なんとも、興味深い映画でした。
主演は、「NGT48」の北原里英。
共演にピエール瀧、リリー・フランキー、門脇麦、音尾琢真、駿河太郎などが主演しています。
個人的には、ちょっと不満足の作品でした。
門脇麦の演技など、良い部分もあるんですけどね‥💦
この映画に、5段階で点数を付けると
(2.8)です。
実話・佐世保小6女児同級生殺害事件(ネバダ事件)を映画化した作品
この映画で一番注目するところは、実話をモチーフにこの映画が作られているという事!
その元となった実話とは…
佐世保小6女児同級生殺害事件…通称ネバダ事件です。
一体どういう事件なのかと言うと…
2004年6月1日午後、長崎県佐世保市の市立大久保小学校で、6年生の女子児童が、同級生の女児にカッターナイフで喉と左手を切られ死亡した事件。被害者女子の傷は深く、左手の甲は骨が見えていた。小学生の女子児童による殺人事件でかつ学校が舞台であり、世間に大きな衝撃と波紋を広げた事件。
記憶から消えかけていましたが、この映画を観て思い出しました。
こんな事件があったんだと…
そして、何故にNEVADA(ネバダ)事件と言われるのか?
それは、事件後で回った写真が原因となります。
加害者少女の来ていた服に「NEVADA」と言う文字がプリントされていたから…
その写真から少女は「ネバダたん」とネット上で呼ばれるようになり、犯罪史上最もかわいい殺人鬼として、ネット上でアイドルに祭り上げられました。
海外でもその影響から「Nevada tan」というニューメタルバンドまで結成されています(後に改名)。
ちなみに映画での“サニー32”という名前は、実際の事件のNEVADA(ネバダ)と同じ
事件後に流出した写真から来ています。
ピースが3と2で、サニー(32)…
だからサニー事件と呼ばれたという事です。
ネバダ事件と、その後のネットでのアイドル化…それを基に
事件から数年後の大人になった加害者少女の運命を描いた作品が『サニー32』と言う映画なのです。
感想とネタバレ
『凶悪』の白石和彌監督が、同じく恐ろしい実話を映画化したと聞けば‥期待してしまいます。
しかし‥『サニー32』は、ハッキリ言ってしまうと期待外れの作品でした。
題材はめっちゃ興味深い
小学6年生の時に殺人を犯し、ネット上で神格化された殺人犯の少女「サニー」…そのサニーを信奉する男たちに誘拐・監禁された女性教師、男たちはその女性教師をサニーと呼ぶのだった‥
そんな良い題材と白石和彌監督を要してなんでダメだったのか?
北原里英の演技が下手
一番ダメだったのは、主人公の女性教師藤井赤理を演じる北原里英です。
北原里英って誰?見たこと無いなあ‥と思ったらNGT48の元メンバーだそうです。
ファンの方には申し訳ないですけど、アイドルっていうほど可愛く無い気がするのは俺だけか?
まあ、とにかくその北原里英の演技が自然では無いんですよ。
不自然というか、下手なんです。
そんな北原里英演じる藤井赤理は、ピエール瀧やリリーフランキーに誘拐され、初めはキャーキャー騒ぐんですけど、ある時ブチ切れサニー32として開花して行くんですけど、順風満帆なところで…本物のサニー32と名乗る女が出てきちゃうんです。
その本物のサニー32と名乗る女を門脇麦が演じているんですよ。
それがまた上手い!
一発で、ああ‥こっちが本物のサニー32なんだと理解してしまう。
もしかしてそれが、監督の狙いだったのかも知れないですけど、北原里英の下手さとの対比が物凄く‥際立ったわけで‥
その後のB級チックな展開は北原里英の下手さと相まって‥ハッキリ言って冷めてしまいました。
ドローン少年ノエルと2ch、ニコ生
映画としては面白く無かったですが、所々に面白い試みもありました。
それはインターネットを使った演出。
ドローン少年ノエルと同じ格好をしたドローンを使う少年が出てきたり、2chやニコ生を使った演出方法。
この部分は現代っぽくて面白かったですね。
キタコレ!とかいう言葉も調べてしまいましたよ。
てか、ドローンって人間乗せて飛べるんですか!?
実際の事件でもネット民の過剰な盛り上がりで、問題となっています。
実際の事件を犯した少女や家族の現在を書いた記事もありましたね。
監督がサニー32で描きかった事
この映画で監督が言いたかった事は、加害者側の気持ちと救いです。
本物のサニー32のセリフ‥
人を殺すと罪は償えなくなる
罪を償う権利が無い
どうすれば許してもらえますか?
死ななきゃならないですか?
そんなセリフを言いながら、自分を傷つけ続けるサニー32…
この映画を観て、二度とこういう事件を起こしてはならない…加害者であるサニー32を可哀想…と思ってしまうのですが、それで良いのか?と自問自答してしまいます。
何故なら、加害者の気持ちは濃厚に描かれているけど、被害者家族の気持ちは薄く描かれています。
加害者の気持ちは確かにそうで、許すべきなのかも知れないですけど‥被害者側の気持ちはどうなるんだ…
実際の事件では、直接会っての謝罪は無いそうです。
被害者の部下の記者である川名壮志氏が「謝るなら、いつでもおいで」というルポルタージュを出版しています。
映画で本物のサニー32を演じた門脇麦の言葉…
人を殺すと罪は償えなくなる…その通りだと思います。
死んだ人は帰って来ないのだから。
だからこそ、北原里英を使いB級映画にしてしまった‥この映画にはガッカリですね。
門脇麦を主演に、サニー32のその後を描いた方が良い映画になったでしょう。
許されない事件、そして加害者の末路、二度と事件を起こさない為に…
最後は被害者家族と会うと言う様な、実際の事件を、救いのある物語で描いて欲しかった。
白石和彌監督を要して、この映画の出来栄えは残念ですね。
これじゃ、被害者家族の感情を逆なでするようなもの。
佐世保小6女児同級生殺害事件(ネバダ事件)をモチーフに作るべき映画では無かった気がします。
サニー32:作品情報
原題 | サニー32 |
邦画 | サスペンス |
製作年 | 2018年 |
製作国 | 日本 |
日本公開 | 2018年2月17日 |
レンタル開始 | 2018年9月12日 |
上映時間 | 110分 |
監督 | 白石和彌 |
脚本 | 高橋泉 |
キャスト | 北原里英 ピエール瀧 門脇麦 リリー・フランキー 駿河太郎 音尾琢真 |
おすすめ度 | (2.8) |
あらすじ
冬の新潟の或る町。仕事も私生活も振るわない中学校教師・藤井赤理(北原里英)は24歳の誕生日を迎えたその日、何者かに拉致された。やったのは二人組で、柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)という男。雪深い山麓の廃屋へと連れ去り、彼女を監禁。柏原は「ずっと会いたかったよ、サニー……」と、そう赤理のことを呼んだ。“サニー”とは——世間を騒がせた 「小学生による同級生殺害事件」の犯人の通称。そのいたいけなルックスゆえに「犯罪史上、最もかわいい殺人犯」とネットなどで神格化、狂信的な信者を生み出すことに。この“サニー事件”から14年目の夜、二人の男によって拉致監禁された赤理。赤理は正気を失っていきながらも、陸の孤島と化した豪雪地帯の監禁部屋から脱出を試みるが、それは驚愕の物語の始まりにすぎなかった——。(公式サイト)