
グロい?ヤバい?
「哀れなるものたち」

「哀れなるものたち」原題:Poor Thingsは2023年のイギリス・アメリカ・アイルランド合作のシュール的なSFロマンティック・コメディ映画です。
原作は1992年に発表されたアラスター・グレイの同名小説で、鬼才ヨルゴス・ランティモスが監督を務めています。
何ともまあ‥不思議な映画だった‥。
現代のフランケンシュタインと言ったらいいのだろうか?エマ・ストーン演じる主人公ベラは、自殺した女性の身体にその女性の胎児の脳を移植したという人物なのだ。
身体は大人なのだが、脳は赤ちゃんなのであります。
だからこそその行動は自由奔放で、成長過程でセックスを覚えてからはそればかり‥。
まさに人間の本能なのでしょうか?
エマ・ストーンがそれを大胆な濡れ場シーンで、正直驚くほどの官能シーンを連発します。
あまりの濡れ場の多さに‥。
この映画はヤバい映画だな‥と思ってしまいました。
「哀れなるものたち」で検索したらグロって出てきますが、この部分なども大きく関係しているように思います。
途中ヤバい映画と思って観てましたが、徐々にベラが人間として成長してきて人間らしくなって行きます。
終わってみたら、ベラの成長物語を観たなあ~と言う感じの映画でした。
ただ好き嫌いが別れそうな作品ではあります。
ヨルゴス・ランティモス監督は独特の世界観の映画を作りますね。
個人的に彼の作品で一番良かったのは‥。
「聖なる鹿殺し」物凄く印象に残る怖い映画であります。
ただ、「哀れなるものたち」も別の意味で印象に残る映画でした。
観ておいて損は無い作品だと思います。
キャスト
ベラ・バクスター /エマ・ストーン
ヴィクトリア・ブレシントン/エマ・ストーン
ダンカン・ウェダバーン/マーク・ラファロ
ゴッドウィン・バクスター(通称:ゴッド)/ ウィレム・デフォー
マックス・マッキャンドルス/ラミー・ユセフ
アルフィー・ブレシントン/クリストファー・アボット
トワネット/スージー・ベンバ
ハリー・アストレー/ジェロッド・カーマイケル
スワイニー /キャサリン・ハンター
Mrs. プリム/ヴィッキー・ペッパーダイン
フェリシティ/マーガレット・クアリー
マーサ・フォン・カーツロック/ハンナ・シグラ
等が出演しています。
あらすじ
パラレル・ワールドのビクトリア朝ロンドンが、当初の舞台。医学生のマックス・マッキャンドルスは、外科医で研究者のゴッドウィン・バクスター(ゴッド)の助手に選ばれる。ゴッドはベラ・バクスターという知能が未発達の成人女性の研究をしており、マックスはベラが覚えた言葉や食べた物を記録する仕事を引き受ける。
ベラはゴッドの家の中に閉じ込められ、日々多くの語彙や感情を覚え、次第には性の歓びをも覚えていく。マックスは近くで観察する時間を過ごす中で、ベラに好意を抱くようになる。ベラの正体をゴッドに問い詰めたマックスは、次のような事実を知らされる。ある時、ヴィクトリアという妊婦が橋から飛び降り自殺をし、その遺体を発見したゴッドが、生存していた胎児の脳を妊婦に移殖して生き返らせたのだという。
ゴッドの励ましを受け、マックスはベラに結婚を申し込み、ベラもそれを受け入れた。しかし、知性が急速に発達していったベラは自然と外の世界に興味を持ち始め、結婚の契約のために家に上がり込んだ弁護士ダンカン・ウェダバーンに誘惑され、駆け落ちをしてしまう。
ベラとダンカンはリスボンに降り立ち、セックスに夢中になる毎日を送る。ベラは好奇心に駆られ1人で外に出かけては酒を飲んだり、タトゥーをいれたり、他の男と性的な行為をしたりする。自由奔放なふるまいに困り果てながらもベラに恋をしたダンカンは、ベラを監禁しクルーズ船に乗り込んだ。
ベラは乗客のマーサとハリーと友達になり、哲学の話に夢中になる。本を読み始め徐々に知性をつけていくベラを横目に、ダンカンは酒とギャンブルに溺れていく。
ある日、ハリーとともにアレクサンドリアに立ち寄った際、ベラは貧しい人々の過酷な現実を目の当たりにし、大きく取り乱す。彼らを救いたいと考えたベラは、ダンカンがギャンブルで勝った賞金を「貧しい人々に渡しておく」と嘘の約束をした乗組員に渡してしまう。残りの旅費が無くなったダンカンとベラはマルセイユで降ろされ、パリに向かった。お金と宿を求め、ベラはパリで売春婦の仕事を始める。激怒したダンカンは精神が崩壊し、ベラはダンカンを見放す。ベラは売春宿で別の売春婦トワネットと友達になり、トワネットから社会主義について教わる。
一方、ベラが駆け落ちした後に別の実験体フェリシティを研究していたゴッドは、末期の病気により死に向かっていた。ベラはマックスに呼ばれゴッドの元へ帰ったが、ゴッドから出自についての真実を聞かされ、ゴッドとマックスに失望する。その後、良好な関係を取り戻したベラとマックスは改めて結婚を約束し、結婚式を執り行う。しかし、結婚式の最中、妻のヴィクトリアを探していたアルフィー・ブレシントン将軍がダンカンの計らいにより乱入し、ベラを連れ去ろうとする。
ヴィクトリアの過去について気になったベラはアルフィーの邸宅に付いていくが、アルフィーの暴力的で残虐な本性を目の当たりにし、ヴィクトリアが自殺したのはアルフィーから逃れるためであったことに気づく。パリで売春をしていたと話したベラに対し、アルフィーはベラを邸宅に監禁し、銃を突き付けながら性器切除を受けるよう脅した。
クロロホルム入りのカクテルを飲まされそうになったベラは、咄嗟にカクテルをアルフィーの顔にかけ、アルフィーの足を銃で撃つ。その後、ベラは負傷したアルフィーを連れてゴッドの家に戻った。ゴッドはベラとマックスに寄り添われ、静かに息を引き取った。ベラは医者としてゴッドの研究を引き継ぐことを決意し、アルフィーにヤギの脳を移殖した。
マックス、トワネット、四つん這いで庭の草を食べるアルフィー、そのアルフィーに水を与えるよう指示されるフェリシティらとともに、ベラは本を読みながら優雅な時間を過ごす。
海外の評価とレビュー!
「哀れなるものたち」の海外の評価はどうなっているのでしょう?
海外映画サイトを調べてみました。
辛口で知られるRotten Tomatoesでは、批評家から375件の投票があり、93%が肯定的な意見で
平均評価は8.6/10点と高い評価になっています。
一般ユーザーの投票でも4.0/5点となっており高評価です。
IMDbでは7.9/10点の評価となっています。
全体の66.9%のユーザーが8点以上の評価をしており、かなり高評価のようです。
ちなみに日本のFilmarksでは4.1/5点となっています。
海外のレビューを紹介します。
何日も考えていたが、どう判断していいかわからない。
面白いけど、気になる。衝撃的だが、軽い。フラケンシュタインの怪物と10代の青春映画の中間。
この映画について何日も考えたが、この映画をどう評価すればいいのかまだわからない。
映画は白黒で始まり、完全に抽象的なシーンが登場したとき、かなりカジュアルに映画を見ていた私は、内心唸った。もしこれが全編に及ぶのであれば、正直なところ、1時間が経過する前に席を立っていただろうと思った。
しかし、徐々に映画は定着していった。興味深い倫理的、道徳的な問いが含まれているが、映画はそれについて判断を下さず、ただ観客に委ねている。私は何を考えていいのかわからず、そのおかげで1分1秒が愛おしく感じられた。
この映画は万人向けではないし、一般的な観客よりも明らかにアート系の観客や賞を狙ったものだが、アーティスティックなタイプではないが、何か違うものを楽しみたい人には、この映画はぴったりだ。
奇妙で、非常に興味深く、ある人には不快で、多くの人には誤解されている
これはとても変わった映画だ。クリエイターや多くのレビュアーが約束したように)気まずく感じることもあったが、楽しく見ることができた。私見だが、1/10をつけた多くのユーザーは的外れだと思う。確かに、非常に成熟した洗練された観客向けの映画だ。世界についての醜い真実がたくさん含まれているので、それが気になる人は見ない方がいい。(クリエイティブな演出、撮影、エマ・ストーンの演技力は評価できる。筋書きは、特権と虐待の多面性を、示唆に富む方法で取り上げている。非常に高いレベルでは、『バービー』と似ている部分もあるが、アプローチはまったく異なると言える。ほとんどアンチ・バービーである。この2つの2023年の映画の対比は、映画批評の大学院の授業で議論する価値がある。
信じられない
脚本から撮影、音楽まで、すべてが素晴らしい。私たちがいかに倒錯の世界に無垢な心を奪われていくかを描いた美しいストーリー。この映画を嫌ったり、下品だとか大げさだとか誤解する人がいることが私には理解できない。この映画が語るストーリーは本当に美しい。不気味」だとか「グルーミー」だとかいう理由でこの映画を嫌う人がいるという事実こそ、この映画が訴えている皮肉なのだ!
終始流れる不穏な音楽と、彼女が成熟し、語彙と運動能力が発達するにつれてフィルムの色彩が動く様子は、繊細だが他の点では非常に明白だ。
信じられないような映画-なんて素晴らしい監督なんだ。
彼の他の素晴らしい作品『Calle DogTooth』をチェックしよう。
非凡
この映画が大好きだ。奇妙で頭脳的な映画なので、賛否両論あるのはわかりますが、ベラのキャラクター演技は見ていて本当に美しいです。彼女の屈託のない誠実さと個人的な成長は魅力的で、エマ・ストーンはただただ崇高だった。唯一の不満は、マーク・ラファロが訛りができないことで、彼のしゃれたディック・ヴァン・ダイクの英語訛りを聞くと少し気が散ってしまう。俳優としての彼は好きだが、キアヌ・リーブスと同様、母国語調に徹するべきだ。
最近のアカデミー賞受賞以外はほとんど何も知らずにこの映画を観たが、その宣伝文句に違わぬ出来栄えに驚いた。
テンポ、セットデザイン、衣装、キャラクター、すべてが五感の饗宴を意味する。お薦めだ。
バカバカしく、とても残念
私は『フェイバリット』、『ロブスター』、『聖なる鹿殺し』の大ファンだ。これらの映画は思慮深く、賢く、本当に見事で独創的だった。この映画は無意味で退屈だった。少しも力を与えてくれなかった。努力はした。本当に、本当に一生懸命に。深みがなく、すべての瞬間が明らかにショックバリューのためだった。いろんな男とセックスしまくれば、解放された女になれるのか?ばかばかしくて強引。この作品が好きでない人たちには、理解できないのだろう!芸術なんだから!
撮影はゴージャスだった。それに、ラミー・ユセフを大作映画で見ることができて嬉しかった。マーク・ラファロは決してアクセントを試みてはいけない。ウーン。とても悪い。エマはこれよりいい。とても残念!
私のお気に入りのキャラクターは、敷地内を歩き回る動物たちだった。ニワトリ犬にもっとセリフを与えるべきだった。
重要で、時に不快なほどゴージャスなクーデター
この映画で観客が落とし込まれる世界は、親しみやすくもあり、理解しがたいものでもある。低評価のレビュアーも認めるように、紛れもなく魅惑的でゴージャスだ。映画が終わる40分前、私はひどく小便がしたくなったが、魅了されすぎて少しも見逃す勇気がなかった。
この物語は、父親(ダフォー)と婚約者(ユセフ)に愛されていたベラの突然の青春を描いている。ベラが巣を出て世界を見たいと主張すると、彼らは理解し、ベラは独りよがりの不良ダンカン(ラファロ)と旅立つ。旅行、本、セックス、アルコール、新しい食べ物、音楽、ダンス、そしてさまざまなシチュエーションでの愉快な言い争いが、ベラを誇り高く全うな人間へと成長させる。
ひとつひとつの演技が完璧で、台詞が歌い、ベラが過酷で非常に現実的な世界にカーストしていく過程で起こる狂気のペースに、読者をさらに引き込む役割を果たしている。彼女は身を縮めることも、家に逃げ帰ることもできたが、その代わりに、自分自身、ダンカン、金持ち、貧乏人、お金など、何もかもがうまくいかないという現実に突き当たるまで、投げかけられるあらゆる経験に広く心を開く。世界は遊び場ではなくなる。かわいそうなこと』は、私がこれまで経験した中で最も甘い自己愛の物語である。そこに関わったすべての人に感謝する。
哀れなるものたちのようなヨルゴス・ランティモス作品は興味深い作品が盛りだくさんです。