
「怪物」

最後は死んだ?女の子は何故嘘を?火事を起こしたのは?孫を轢いたのは校長?
謎がいっぱいで、終わった後に色々想像しちゃう映画でした。
非常に良い映画だと感じましたね。
ちょっと自分が謎に感じた部分の答えを書いてみました。
最後は死んだ?

誰もが一番気になるのが映画のラストシーンではないでしょうか?
ラストシーンはこんな感じです。
大型の台風が接近する中、父親に折檻されてお風呂の中で朦朧としている依里を助けた湊は、「ビッグランチが来る」と言って二人で廃電車の秘密基地に向かった。
廃電車の中に無事に入った二人だったが、そこに土砂崩れが襲ってくる。
そして、土砂崩れで横倒しになる廃電車から這い出した湊と依里は、台風が去り青空となった空の下で草原を走りながら「生まれ変わったのかな?」「元のままだよ」と、楽しそうに光の中に走って行った。
ここが一番気になりますよね?
湊と依里は死んだのか?
いつもは立ち入り禁止だった場所が、立ち入り禁止のバリケードがなくなっていたりして、どうもこれは現実世界ではないと考えられます。
小説版では「二人は未知の世界に行った」と書いてあったそうです。
と言うことは二人は死んでしまったと言う事でしょう。
監督の是枝裕和さんと、脚本の坂元裕二はラストシーンにこう言及しています。
子役2人が光の中に向けて走っていくラストシーンについても言及。中には2人が死んでしまったという解釈があることを受け、坂元氏は「僕もメールをもらったが、何を言っているんだと思った。彼らはこのまま生き続けるとしか思えない一択」と強調。是枝監督も、「彼らの生を肯定して終わるという共通認識があった。ただ、光に満ちているから現実離れしているという意見を否定するつもりもない」と補足した。
うーん‥これは生きているという事なのかな?
二人ともハッキリと答えに関して言及しないことから、終わった後に考えて想像させる‥という手腕なのでしょう。
気になるラストですよね。
女の子は何故嘘を?
保利先生が「湊が猫を虐待し殺した」と証言させようと女の子に言ったときに、女の子にそんなこと言ってません…と言われ女の子が嘘を言ってるように感じてしまうシーン‥気になりますよね。
これはミスリードを誘う上手い演出です。
女の子は保利先生に対して「湊くんがネコと遊んでた」と言っただけなんです。
保利先生が色々な事件を得て「湊が猫を虐待し殺した」と勘違いしてしまったんです。
だからこそ女の子はそんなこと言ってません!ってなっちゃったんですね。
火事を起こしたの犯人は?
再々出るガールズバーが燃えているシーン、犯人はだれなのでしょう?
放火の犯人は星川依里です。
星川依里は「ビルを燃やしたのは依里くんだったの?」という湊の問いに
「お酒は体に良くないからね」と答えています。
星川依里はゲイであることを理由に、豚の脳と入れ替わっている、怪物だと父親から虐待されていました。
そんな父親が自分以外の人間に愛情を注いでいる‥自分には愛情をくれないのに‥。
火事を起こす動機は十分にあります。
孫を轢いたのは校長?
校長の伏見は孫を事故で失っていました。伏見の夫が誤って轢いたとして逮捕されていますが、どうやら本当は孫を車で轢いたのは校長のようです。
これまたそういったシーンは出てこないのですが、校長の行動や表情、言動を考えれば、孫を車で轢いたのは校長だったんだなあ~と思います。
捕まった旦那さんとの面会のシーンでは、旦那さんに孫を殺したという重圧は感じれませんでした。
むしろ逆に、孫を殺してしまった奥さんを気遣うように明るく話しているように感じました。
校長はスーパーで走り回っている子供にわざと足を引っかけたり、無実と分かっている保利に謝罪させたりと、曲者ぶりを発揮しています‥。
そういう事を考えても、孫を轢いたのは校長だと考えられます。
映画「怪物」は、「告白」という映画の様な作りで、色々な登場人物の目線を各々描いていくことから、点と点が線で繋がってくるような映画です。
「LGBT」の問題も取り入れ、人々の心の中にいる怪物を描いた作品です。
言葉の間違い勘違いなどでこうも受け取り方が変わるという事実を痛感させられました。
観て損は無い作品だと思います。
映画「怪物」のような日本映画は興味深い作品が盛りだくさんです。