
ネタバレ禁には、目次をお使いください('ω')
映画『ひゃくえむ。』ネタバレ考察
ラストはどっちが勝った?
アスリートなら分かる「勝敗の行方」と究極の心理戦
「その一瞬に、一生を懸けられるか。」
アニメ映画『ひゃくえむ。』。『チ。-地球の運動について-』で知られる天才・魚豊(うおと)のデビュー作であり、Netflixでも話題沸騰中の本作。
🌏 世界でも評価が爆発中!
実は本作、Netflix世界ランキング6位という快挙を達成しています。
海外勢はなぜこの「痛み」に共感したのか?元ボクサーの視点で解説しました。
わずか10秒、距離にして100メートルに人生の全てを費やす人間たちを描いたこの傑作は、単なるスポーツ映画ではありません。
これは、勝負の世界に生きるすべてのアスリートが観るべき「魂の教科書」です。
映画のラスト、トガシと小宮の勝負の行方は描かれずに幕を閉じます。
観終わった後、多くの人が検索するでしょう。「結局、どっちが勝ったのか?」と。
今回は、ボクシングトレーナーとして数々の「勝負の瞬間」を見てきた私の視点から、この映画のラストの勝敗を断定します。
結論から言えば、勝ったのはトガシです。なぜそう言い切れるのか? ネタバレ全開で、アスリートの心理面から徹底解説します。
この記事の結論(ネタバレ要約)
- ✅ 小学校時代の勝負:トガシの勝ち(ゴール地点では先行していた)
- ✅ ラストの勝負:トガシの勝ち(チャレンジャーの精神)
- ✅ 勝敗の理由:「守り」に入った小宮 vs 「全てを懸けた」トガシの差
小学校時代の公園レース:どっちが勝った?
物語の原点となる、雨上がりの公園でのトガシと小宮のレース。
映像では小宮がものすごい勢いで追い上げ、トガシを抜き去るような描写がありましたが、あの勝負、実はトガシが勝っています。
証拠はトガシの「セリフ」にある
まず、物理的な描写をよく見返すと、ゴールと定めた「木」を通過した瞬間は、まだトガシが前にいました。小宮が脅威的な加速で抜き去ったのは、ゴールライン(木)を過ぎた後のことです。
そして何よりの証拠が、高校生になったトガシが小宮に対して放ったこの一言です。
「今日も、勝たせてもらうよ」
「今日も」ということは、「あの日(小学校の時)も俺が勝っていた」という認識がトガシにある(事実である)ことの証明です。
トガシは小宮の才能に恐怖を感じてはいましたが、勝負の結果として譲ってはいなかったのです。
なぜ「絶対王者」は負けるのか?防衛本能の罠
ラストシーンの考察に入る前に、この映画の最も重要なテーマである「チャレンジャー vs ディフェンダー(防衛者)」の構図について触れなければなりません。
作中には、絶対王者であり日本記録保持者の「財津」が登場します。
彼はなぜ負け、引退したのか? それは彼が「守り(防衛)」に入ってしまったからです。
アスリートの世界には残酷な真実があります。
「今の地位を守りたい」「負けたくない」と思ってスタートラインに立った人間は、「自分に勝つこと」だけを目標に全てを投げ打つ人間に勝てないのです。
その一瞬に人生を賭けて勝負できなくなった時、アスリートの魂は死にます。
財津の敗北は、まさにその象徴でした。そしてこの心理は、ラストのトガシと小宮の勝敗に直結します。
【結論】ラストはトガシが勝った理由
映画のラスト、号砲と共に走り出した二人の結末。
私の考察では、間違いなくトガシが勝ちました。
小宮は「チャレンジャー」ではなくなっていた
小宮は、目標としていた絶対王者・財津に勝ってしまいました。インターハイでもトガシとの決着をつけています。
その時点で、小宮の心には無意識のうちに「追われる者(防衛者)」としての慢心や、ハングリー精神の欠如が生まれていたはずです。
財津がそうであったように、今の小宮は「失うものがある」側の人間になってしまっていたのです。
トガシは「命」を燃やしていた
一方のトガシを見てください。彼は脚に爆弾を抱え、「走れば選手生命が終わるかもしれない」という極限状態にいました。
それでも彼はスタートラインに立ちました。
- 怪我のリスクを顧みない覚悟。
- 先のキャリアなんてどうでもいい、という狂気。
- ただ「今、この一瞬」に勝つことだけへの渇望。
このレースのトガシは、かつて小宮が持っていた「純粋なチャレンジャーの炎」をその身に宿していました。
守るべき未来を捨て、この一瞬に魂を全ベットした人間に、防衛本能の残る人間が勝てるはずがありません。
これこそが『ひゃくえむ。』という残酷で美しい物語にふさわしいラストです。
まとめ:アスリートよ、これを観ろ。
いやー、それにしてもこのラストのトガシと小宮の勝負…最後まで映像で観たかったですね。
しかし、あえて描かないことで、私たち観客に「どっちが勝った?」「お前ならどう走る?」「お前は人生を賭けれるのか?」と問いかけてきているようにも感じます。
競技は違えど、ボクシングも陸上も、魂を削る一瞬がある点は同じ。
「最近、守りに入っていないか?」
そんな迷いがあるアスリートは、ぜひ『ひゃくえむ。』を観て、あの頃の狂気的な情熱を思い出してください。
勝つのはいつだって、失うことを恐れない「挑戦者」なのです。








