「誰も知らない」是枝裕和、柳楽優弥の代表作!“巣鴨子供置き去り事件”をモチーフに描いた実話ドラマ
誰も知らない

ネグレスト…育児放棄、育児怠慢、監護放棄。もはや社会問題とも言えます。そのネグレストが原因で子供が死んでしまった事件が昭和にあったのをご存じでしょうか?

その事件は
巣鴨子供置き去り事件

4人の子を持つ母親が、長男に子供の面倒を任せ家を出て行ってしまい、残された子供たちで何か月もの間暮らした結果‥幼い子供の命が奪われた事件です。

いごっそう612
とんでもない事件だ‥

 

そして、その「巣鴨子供置き去り事件」をモチーフに作られた映画があるのです。

その映画は…是枝裕和監督作品
誰も知らないです。

誰も知らない
誰も知らない

 

映画のポスター写真を見れば、ああ~こういう映画あったなあ‥と思い出す人もいるんじゃないでしょうか?

劇場公開は2004年8月7日‥ちょっと昔ですね。当時14歳だった柳楽優弥が、12歳の長男役を演じ第57回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した事で話題となった作品。柳楽優弥と是枝裕和監督の代表作の1つであります。

実話!巣鴨子供置き去り事件‥

さてさて映画のモチーフになった実際にあった事件、巣鴨子供置き去り事件とはどういう事件なのか?

1988年朝日新聞記事を基にしたインターネットの情報とWikipediaの情報をまとめてみました。

 

巣鴨子供置き去り事件の発端、事件前から事件後まで

母親(事件発覚当時40歳)は川崎の私立高校卒業後、服飾専門学校に進学、歌手を目指したこともあったそうで、実際にレコードも何枚か出しているそうです。

昭和43年頃からデパートの派遣店員として就労。勤め先で男性と同棲を始める。

48年、男性との子を足立区で出産する。

54年頃、長男の父親が蒸発。その後長男が就学年齢に達しても就学通知が来ず、母親が役所を訪ねると長男の父親が婚姻届と出生届を出していなかったことが判明する。

56年頃に長女(事件発覚当時の7歳)を出産。

59年9月に次男を出産、60年2月に仕事から帰宅時、哺乳瓶をくわえたまま死んでいたのを発見する。処置に困り当時住んでいた家に隠す。母親は長男に「親戚のおじさんに預けた」と説明している。

60年頃に二女(事件発覚当時の3歳)を出産、61年7月に三女を出産、62年9月頃までは大塚駅周辺に住んでいたが、その後西巣鴨に転居する。死んでいた次男はビニール袋に入れてスーツケースに入れたまま荷物として運んだ。

母親はこれまで父親の違う子どもを5人生んだと話しているが、少なくとも3人の男性との間に、6児を出産。養子に出した子と長男以外は、すべて自宅で自分の力だけで生んだということが判明している。

西巣鴨のマンションは表通りに面した鉄筋四階建て。住んでいたのは2階で、1階には24時間営業のコンビニがあった。

大家には、「長男と2人暮らし。長男は立教中学に通っている。夫は数年前に死亡した」「私はデパートに勤めている」と話して大家を信用させマンションに入居。大家は他に子どもがいることは知らなかったと話している。

長男には「事情があって今は学校に行けないが、いつかは行けるように手続きしてやる」と言い聞かせ、市販されている学習ブックを買い与えていた。(事件発覚時長男は、姓は漢字で書けるものの、名前はひらがなでしか書けなかった。)

62年秋頃から千葉県浦安市の冷凍食品販売業の愛人(56歳)ができ、愛人のところに入り浸るようになった。長男の話では62年秋頃から、「仕事で大阪に出張する」と言ってマンションを出たままだというが、母親はときどき2・3万円ずつ送金してきたようで、たまに姿をみせていたこともあった。

その後、63年の正月に一度戻っているが、子どもが邪魔になってマンションに置き去りにし、千葉県内の愛人のマンションに同居していた。長男には千葉県の住所を教えていた。

長男によると、マンションには時々男性が「元気か」と訪ねてきていたらしいが、愛人か長男の父親かはわからない。

長男は、いなくなった母親の代わりに食事を作ったり、おむつを取り替えたりしていた。また、毎日のようにコンビニを訪れては菓子パンやおにぎり、アイスクリームなどを買っていた。コンビニの店長は「夜中の2、3時に来たり、学校のある昼間の時間帯にもしばしば見かけたりするので、変だなあと思っていた」と話していた。

母親がいなくなって、11月頃に長男は近所の菓子店で中学1年生の2人と知り合う。彼らは頻繁に出入りするようになった。

63年3月末、長男は滞納していた1月までの3ヶ月分の家賃(27万円)を支払ったが、2月以降は未払いでその後はガスと電気を止められていた。

4月21日昼頃、遊びに来ていた友達2人のうちの1人が前日に買っておいたカップめんがなくなっているのに気づいた。三女(2歳)の口元にのりが付いていたため、長男が(あるいは友だちが)三女が食べたと思い体罰を加え始めた。

三女は翌22日午前8時半ごろ死亡。「三女が死亡する致命傷は、長男でなく友人が押し入れから何回も落としたことによる」と長男の弁護士は述べている。

殴ったり、押し入れの上から何度も三女の上に飛び降りたり、押し入れに積まれた布団に乗せ、ぐらぐらして下の畳に落ちるのを見て楽しんでいた。暴行は4~5時間に渡って行われた。

友人2人は、はじめは「長男がやめろと止めた」と供述していたが、その後「初めは、長男も殴った」と話し、長男も「3人でいじめた」と認めた。長男は死なせた3女を含め3人の妹の面倒を一人でみていたが、言うことをきかない幼い妹たちに困り果て、そそうをしたりすると体罰を加えていた。

26日、長男は腐敗してきた三女の遺体を友人2人とともにビニール袋に包み、さらにボストンバッグに詰めて、3人で電車に乗り、夜11時頃秩父市大宮の公園わきの雑木林に捨てた。友人のうち1人は「夜遅くなるとしかられる」と途中で電車を降りた。2人は遺体を捨てた後、帰る電車がなかったため、その夜は駅で明かした。

7月17日、大家からの不良の溜まり場になっているとの通報を受け、巣鴨署員がマンションの一室を調べたところ、長男(推定14歳~15歳。以下同)、長女(7歳)、次女(3歳)の三人と、白骨化した乳児(次男)の遺体が発見された。

玄関を入ってすぐのダイニングに妹2人が毛布にくるまって寝ていた。長男は奥の6畳に布団を敷いて寝ており、パジャマ姿で出てきた。妹たちは衰弱しきった様子で、特に3歳の二女はガリガリにやせていた。

カーテンは閉め切り、部屋には衣類が散乱。台所には残飯の一部がかびた状態で残っていた。

部屋には一通りの家具があり、電気炊飯器でご飯が炊かれ、電熱器にはみそ汁をつくったなべがかけられた跡があった。冷蔵庫にはニンジン、タマネギ、キャベツなどが入っていた。洗濯機には洗いかけの衣類が入っていた。

2人の妹は「パンが欲しい」と言い、相談員が買ってきたパンと牛乳をおいしそうに食べ、その後もアイスクリーム、チョコレートなどと食べ物を欲しがった。「どうしたの」という問いかけに、7歳の長女は「お兄ちゃんに面倒をみてもらっている」と話すばかりだった。2人の妹は新宿区の都児童相談センターに預けられた。

長男は「夜の商売の人の子どもで預かっている。母は大阪に仕事にでかけている」と説明した。

長男は7月21日朝、友人の父親に付き添われて福祉事務所を訪れ保護されたが、センターに空きがないため、都八王子児童相談所に収容された。健康状態、顔色ともにごく普通であったという。

7月23日、千葉県内の愛人のマンションに同居していた母親は「テレビのニュースで事件を知り、自首しようと思った。中学程度の子どもに幼い子みんなの面倒を見させて悪かったと思う」と話し、保護者遺棄の疑いで緊急逮捕された。涙は見せていないという。母親は発見された子どものほかにも三女を産んだと話した。

7月25日、長男は三女をせっかん死させたことを供述し、傷害致死と死体遺棄の疑いで逮捕。この日まで児童相談所に収容されていたが、三女のせっかん死を供述してからは目に見えて顔つきが穏やかになった。「やはり、隠し事があるのを気にしていたのでしょう。秩父の現場検証から帰ってきたときは、重荷をおろしたような表情でした」と児相の所長は話している。「本当に優しい子だと感じた。社会の汚れに染まらず生きてきて、母親も絶対的な存在だった。でも、友人との出会いで、小さな子どもの世話をするのが重荷に感じてきたのでは」とセンターの職員は話した。

8月10日、東京地検は、この長男を傷害致死、死体遺棄罪で東京家裁に送致。同地検は「母親さえいれば起こりえなかった事件であり、長男には教育的措置が必要」として少年院ではなく、教護院へ送ることが相当との、異例の処遇意見を付けた。今回は長男が戸籍もなく、全く学校教育を受けていないなど特殊な事情があり、児童福祉施設の教護院で教育を受けさせる方が良いと判断したという。

犯行に加わった少年2人は、刑事責任を問えない年齢であり巣鴨署で補導した。

10月26日、保護者遺棄、同致傷の罪に問われた母親に対する判決公判があり、裁判官は「わが子を養育するわずらわしさから逃れようとした無責任、身勝手きわまりない犯行。三女の死の遠因となったといっても過言ではない」として、懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年)の有罪判決を言い渡した。

判決理由の中で、執行猶予について「子ども出生を届けず、学校にも通わせないなど母親の自覚がなく、放置が続けば子どもの生命が失われる危険もあった。親の責任を放棄した罪は重いが、同姓相手と結婚してやり直すと誓っていることなどを考慮、今回に限り、自力更生の機会を与えることにした」と述べた。

事件後、長女と次女は母親に引き取られた。長男の消息は不明。

「誰も知らない 」感想とネタバレ “ゆき”死因は実際と違う

なんとも惨たらしい事件である…。僅か12歳で子供たちの面倒を見ることになった長男…。育児とは、思い通りにならないし、とてつもないストレスがかかる時もある。まだ遊びたい盛りの少年なら尚更でしょう‥。

全ては母親のせい‥。子供を産んだら母親としての自分が強くなる女性と、子供を産んでも女であることの自分が強い女性がいます。この事件の母親は後者でしょうね。母親も愛に飢えていたのでしょう。

しかし愛が欲しいからと言って。子供を捨てて自らの幸せを中心に考えるのは許せません。じゃあ産むなよ、作るなよと言いたくなる。

インターネットがまだそんなに普及してない時代ですから、本人の情報などは探しても見つかりません。今の時代ならとことん追い詰められるでしょうに。懲役3年、執行猶予4年…。そんな軽い罪で良かったのでしょうか?

誰も知らない

 

映画で母親を演じるのは、YOUさんです。子供は愛しているが、それよりも自分の幸せを優先しているという感じで上手く演じれていたと思います。実話でもお金は送ってきているし、子供は嫌いでは無かったのでしょう。

長男が出来過ぎたばかりに全てを任してしまったのかも知れませんが、身勝手ですね。

YOUが演じる母親も、子供たちが死ぬ思いをしているのに、お金を送って来た手紙に、長男あてに頼りにしてるなどと‥軽い事書いてるのは怒りを感じました。

 

「誰も知らない」は“巣鴨子供置き去り事件”をモチーフに描いた作品ではあります、母親の行動などリアルに描かれて部分も多いのですが、映画で描かれている事は実際の事件よりだいぶソフトに描かれています。

やはり映画だけあって救いがある様な感じで描かれているんですね、特に思ったのが3女ゆきの死因

実際では惨たらしい死を迎えていますが、映画では単なる家の中で起きた事故として描かれています。これは賛否が分かれるところでしょうが、映画としては良かった気もしますね。

同じ様なネグレスト映画に「子宮に沈める」という映画があるのですが、これはリアルに描き過ぎて‥ものすごく暗い気持ちになります💦

怖く観てて悲しい部分もあるが‥救いもある‥。映画としてそれは良かったと思います。是枝裕和監督の脚本は流石ですね。

 

そして、やはり柳楽優弥の演技でしょう。上手いですね~目力あります。

誰も知らない
誰も知らない

 

ちょっと陰のある感じ、表情からなにから満点の演技です。第57回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞したのも納得の演技!

当時若干14歳…。順調にキャリアを重ねたら物凄い役者になっていたかも知れません。ブランクを作ってしまったのは残念ですね。

しかし、最近また脚光を浴びる機会が増えたのは、嬉しい限りです。

 

141分と長尺ですが、飽きることなく観ることができました。映画が公開になって15年…ようやく観たのですが、良い映画でしたね。もっと早くに観るべきでした。

まあ、めっちゃ重い映画なので観るには勇気がいりますよね💦

予告編

いごっそう612
お暇があれば観て欲しい。是枝裕和監督、柳楽優弥の代表作です。
今すぐ観る誰も知らない

 

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