英国版大奥と話題になり、第91回アカデミー賞で作品賞を含む9部門10ノミネートされたという、女と女の争いを描いた異色映画!
「女王陛下のお気に入り」
18世紀イングランドの王室を舞台に、女王と彼女に仕える2人の女性たちの三角関係…入り乱れる愛憎劇‥これがまた面白い!
監督は、2012年『ザ・ガーディアン』紙にて「この世代のギリシャの映画監督のなかで最も才能のある人物」と評されたこともある鬼才・ヨルゴス・ランティモス監督。
この人の作品は本当に凄い、現在映画ファンがもっとも注目している監督と言っても過言では無いでしょう。
『ロブスター』、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』、わけわかんねー系の難解映画ばかり作り上げるのだが、その作品を一度観てしまったらその不思議な世界観の魅力にどっぷりハマってしまい、彼の過去作を観たくなってしまうこと間違いなし!
そんな監督が作り上げた『女王陛下のお気に入り』は、第91回アカデミー賞では『ROMA/ローマ』と並び最多9部門10ノミネートを獲得し、アン女王を演じたオリヴィア・コールマンが主演女優賞を受賞するほどの話題作となっています。
何と言っても題材が面白い、18世紀初頭のイングランドを舞台に、アン女王の寵愛を奪い合う二人の女性のしたたかな攻防を描いた宮廷ドラマ。
まさに英国版大奥なのであります。
女王アン役のオリヴィア・コールマンのほか、アビゲイル・メイシャム役にエマ・ストーン、サラ役にレイチェル・ワイズ、ロバート・ハーレー役にニコラス・ホルト等が出演しています。
そんな女性版大奥である『女王陛下のお気に入り』ですが…。
実話をモチーフに映画化したものって知っていましたか?
実話、実在人物を題材
何とまあ驚いたことに、登場人物のほとんどが実在した人物たちなのです。
女王アン、アビゲイル・メイシャム、サラ・ジェニングス、ロバート・ハーレーなど、その全てが実在した人物!
しかも、若干史実とは違いもあるものの、映画で描かれた物語は実話そのもの!
映画の基となった実在した人物
映画で描かれていた、アビゲイル・メイシャムがサラに引き取られ、女王アンに取り入り、サラを追い落としその座を奪ったことまで、実際にあった実話なのです。
しかし‥映画では、アン女王の夫ジョージ王配も登場せず、1707年の国号変更や、フランス王国等との北米大陸における戦争のことなども描かれていません。映画版に必要な部分だけを抜き出して描いている様です。
考えらされるラスト
しかし、それにしてもヨルゴス・ランティモスの手腕は凄い、不気味で異質な音楽や、ちょっとしたアクセントになる残虐描写などを含め、決して早い展開の映画では無いのですが、全く飽きずに観ることができます。
ラストもまた凄く良いんですよね。女王陛下の足をさすりながら髪を掴まれその体重を乗せられるアビゲイルの頭…。
アビゲイルの脳裏には、自分が踏みつけていたウサギの姿がよぎります。
サラを追い落とし出世しても、所詮‥女王のお気に入り‥ただのペットでしかないという虚しさ。
そして‥女王の目も空虚‥本当に信じれる見方であったサラを自ら捨ててしまった事への後悔‥。
ヨルゴス・ランティモス監督の作品は、こういう考えらされるラストが凄く良いですよね!
海外の評判
この映画の海外の評判をちょっと調べてみました。海外映画サイトIMDbとRotten Tomatoesを参考にしています。
IMDbでは、10点満点中7.6点。まあまあ良い点数ですよね。
Rotten Tomatoesでは
批評家の評価が93%と物凄い評価になっています。
予告編
不気味で真面目な雰囲気なのに、クスっと笑えるドロドロの女の争い、アン女王、アビゲイル、サラの三角関係。
お暇があれば、ぜひ観てもらいたい。実話ベースの歴史ドラマ作品でした。