
「スンブ: 二人の棋士」を観ました。
原題は승부、英題はThe Match…The Matchと言えば、那須川天心と武尊の試合を思い出すのですが、この映画に登場する師匠と弟子の二人も、あの試合のような熱い戦いが行われるのです。

映画の冒頭で出てきます。
この映画は実話を基にしたフィックションです
そうなのです。映画「スンブ: 二人の棋士」は実際にあったできごとを映画として盛り込みながら作り上げた作品なのです。
1980年代から1990年代を舞台に、実在する著名な囲碁棋士2人をモデルにこの映画は作り上げられています。
モデルとなったのはチョ・フンヒョン(曺薫鉉)と、イ・チャンホ(李昌鎬)です。
二人とも韓国の棋士で、チョ・フンヒョンは韓国囲碁界のタイトル王であるとともに、第1回応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦を始めとして世界選手権でも多数優勝、1990年代から2000年代前半にかけての世界最強棋士の1人です。
イ・チャンホは、わずか16歳で世界戦優勝。その後世界歴代1位の世界棋戦優勝21回、国内棋戦優勝140回を数え、1990年代から2000年代の世界最強棋士の1人です。
チョ・フンヒョンは、1984年からイ・チャンホを内弟子として育て、1990年の最高位戦でイ・チャンホに初めてタイトルを奪われ、その後も二人は多くのタイトルを争いました。
映画「スンブ: 二人の棋士」では、その部分が描かれており、 イ・ビョンホン演じるチョ・フンヒョンが、イ・チャンホの才能を見出して弟子にし、長い年月をかけて指導していくが、独自の戦法に開花したユ・アイン演じるイ・チャンホに敗れてしまいます。
ショックを受け一時はスランプに陥りますが、復活し今度は挑戦者としてイ・チャンホに挑む姿が描かれています。
映画としてかなり面白おかしく作り上げて入るのでしょうが、所々実話を再現したシーンなどもあって、イ・チャンホに連敗しているチョ・フンヒョンが自棄になってこんなやる気のない姿になっているところなどは、イ・ビョンホンが見事に再現していました。

映画で何度かチョ・フンヒョンが日本と関りがあるようなシーンがあったと思うんですけど、調べてみたら、チョ・フンヒョンの師匠は日本の瀬越憲作でした。
チョ・フンヒョンは、1963年来日し瀬越憲作に入門、日本棋院の院生4級となり、1966年に初段。1970年、33勝5敗1ジゴの成績で棋道賞新人賞受賞。1971年五段。この間、木谷実の一門らとともに、梶原武雄の研究会や、藤沢秀行の研究会に参加していたそうです。
1972年に兵役のために帰国し、1973年に韓国棋院に五段として所属し、兵役の傍らで棋戦に参加し韓国の棋院で活躍していくのです。
まさかの日本とも関りがあったとは…調べてみてちょっとテンション上がりました。
Netflixでの配信が延期された理由
「スンブ: 二人の棋士」は、2023年にNetflixで配信される予定でした。
しかし、配信となったのは最近です。
Netflixでの配信が延期された理由はなんなのか…?
それは、ユ・アインの麻薬使用容疑です。
ユ・アインは、2023年2月、全身麻酔や鎮静に用いられるプロポフォールの不正使用で強制捜査を受け、同時に、大麻の陽性反応が検出されました。
2020年9月~2023年1月ソウル一帯の病院で美容施術のための睡眠麻酔を受けるとしてプロポフォールやミダゾラムなど医療用麻薬類を181回投薬し、2021年5月から2022年8月まで他人名義で45回にかけて向精神性医薬品であるゾルピデム・スティルノックス錠など合計約1100錠を不法に処方を受けて購入した容疑で裁判に渡され、知人チェ被告と2023年1月で米国で大麻を使用していた容疑ももたれています。
裁判所は懲役1年・執行猶予2年、罰金200万ウォン(約21万円)を宣告しています。検察が判決に不服を申し立て、上告状を提出しています。
現在は釈放され、今年はユ・アイン出演の映画「ハイファイブ」が公開を準備しています。
Netflixでの配信が延期された理由には、こんな理由があったんですね。
でも、「スンブ: 二人の棋士」は良い映画です。ぜひ観ていただきたいですね。
「スンブ: 二人の棋士」のような実話を基にした映画は興味深い作品が盛りだくさんです。