【ネタバレ考察】映画『トラップ』本当の罠を仕掛けたのは誰だ?シャマランの術中を徹底解剖
トラップ2024

2024年公開のM・ナイト・シャマラン監督最新作『トラップ』は、観客を巧妙に騙すサイコスリラー映画です。

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M・ナイト・シャマランのファンは首を長くして待っていたのではないでしょうか?M・ナイト・シャマラン最新作!!

一見、微笑ましい父娘の物語から始まるこの映画は、瞬く間に連続殺人犯とFBIの息詰まる心理戦へと変貌していくという予測のできない展開に…新しいシャマラン映画がここに誕生しています!

この記事では、作品の基本情報から、ネタバレ、衝撃の結末、そしてシャマラン監督の過去作との共通点まで、本作の魅力を徹底的に深掘りします。

作品情報とキャスト

タイトル :『トラップ』(原題:Trap)
制作国:アメリカ合衆国
監督・脚本: M・ナイト・シャマラン
公開年:2024年
ジャンル:サイコスリラー
上映時間:106分

キャスト

クーパー・アボット / ジョシュ・ハートネット
本作の主人公であり、連続殺人犯「ブッチャー」。表向きは優しい父親ですが、内面に狂気を秘めています。娘をポップコンサートに連れて行き、会場に仕掛けられたFBIの罠から脱出しようと試みます。

ライリー・アボット / アリエル・ドノヒュー
クーパーの娘。父親の秘密には気づかず、コンサートを楽しむ純粋な十代の少女です。彼女の存在が、クーパーの行動を複雑にする大きな要因となります。

レディー・レイヴン / サレカ・シャマラン
大人気のポップスター。クーパーの娘が憧れる存在です。クーパーの脅迫に直面しながらも、知恵を絞って反撃を試みます。監督の実娘でもあります。

レイチェル・アボット / アリソン・ピル
クーパーの妻であり、ライリーの母親。夫の正体に薄々気づいており、匿名で警察に通報するなど、密かに夫を罠にかけるための行動をとっていました。

ジョセフィン・グラント博士 / ヘイリー・ミルズ
連続殺人犯「ブッチャー」のプロファイリングを行うFBI捜査官。クーパーの心理を巧みに読み解き、彼を追い詰めていきます。

ジェイミー / ジョナサン・ラングドン
コンサート会場の売り子。クーパーが盗聴器やIDカードを入手するきっかけとなる人物です。

スペンサー / マーク・バコルコル
ブッチャーによって監禁されていた最新の被害者。クーパーの携帯電話の映像を通して登場し、物語の鍵を握ります。

レディ・レイヴンの叔父/M・ナイト・シャマラン
Spotter=会場スタッフの監視役としてカメオ出演、クーパーに娘が白血病から回復したと聞かされて、娘をドリーマー・ガールとして抜擢します。

予告動画

あらすじの罠:観客は誰の「トラップ」にかけられたのか?

物語は、消防士クーパー・アボットが娘のライリーとポップコンサートを訪れるシーンから始まります。しかし、会場に異常な数の警察が集結していることに気づき、クーパーはFBIが連続殺人犯「ブッチャー」を追っていることを知ります。そして観客は、予告編の段階で既に明かされている通り、クーパーこそが殺人鬼ブッチャー本人であることを知らされます。

シャマラン監督はここで、犯人の正体を早々に明かすことで、従来の「犯人当て」ミステリーの構造を逆手に取ります。観客に「FBI」と「犯人」両方の視点を与え、クーパーの行動を追跡させるのです。

彼の次の一手を予測し、どうやってこの絶体絶命の状況を切り抜けるのか、手に汗握りながら見守ることになります。しかし、この単純な「脱出劇」という構図こそが、シャマランが仕掛けた最初の「罠」なのです。

衝撃の真実:本当の「罠」を仕掛けたのは誰か

映画のクライマックスでは、さらに驚くべき事実が次々と明らかになります。

妻レイチェルの策略:クーパーを警察に通報したのは、彼の妻レイチェルでした。

長年夫の秘密に苦しんできた彼女は、空き家に被害者のものと繋がる証拠となるチケットの領収書を意図的に残し、匿名で通報することで、夫をこのコンサート会場という巨大な罠に誘い込んだのです。

彼女の行動は、娘を守るための、深く悲しい決意でした。

プロファイラーの言葉に隠された意味:FBIプロファイラーのジョセフィン・グラント博士が語る「ブッチャーは母親との間に問題を抱えている」というプロファイリングは、一見クーパーの過去を示唆しているように聞こえます。

しかし、これはレイチェルが警察に提供した情報に基づいており、彼女が夫の異常性をどのように解釈し、警察に伝えたかを示唆するものでした。

このプロファイリング自体が、レイチェルの視点を通して作られた、物語の核心に迫る重要な伏線だったのです。

ブッチャー(クーパー・アボット)のキャラクター分析

クーパーは、完璧な父親を演じながらも、裏では残忍な殺人の衝動に駆られる恐ろしい二面性を持つ人物です。

彼の行動は、娘を守る父親としての深い愛情と、連続殺人犯としての本能的な暴力性の間で揺れ動く、心理的な葛藤の表れです。

彼は常に物理的な「罠」から逃れようとしますが、その逃走の過程で、無関係な人々を巻き込み、結果的に自らを精神的な破滅へと追い込んでいきます。

彼の最後の行動、護送車でいとも簡単に手錠を外すシーンは、彼の狂気が終焉を迎えていないことを暗示しており、観客に深い余韻と恐怖を残します。

彼が殺人を犯す具体的な動機は劇中で明確には語られません。

しかし、彼が被害者を監禁し、「家族」のように振る舞わせようとする姿は、彼自身の歪んだ愛情や支配欲の現れと解釈できます。

娘ライリーへの過剰な愛情と、被害者への残虐行為は、彼の中で「守るべき家族」と「支配すべき対象」という二つの側面が矛盾なく同居していることを示唆しています。

これは、完璧な父親という仮面の下に隠された、彼の心の空虚さや満たされない承認欲求を浮き彫りにしているのかもしれません。

M・ナイト・シャマラン監督の過去作との共通点

本作は、これまでのシャマラン作品が持つ特有の要素が凝縮されています。

どんでん返し(ツイスト・エンディング): シャマラン作品の代名詞とも言える、衝撃的なラストは本作でも健在です。観客の予想を裏切る結末は、一度観ただけでは気づかない伏線を再確認したくなる衝動に駆られます。

限られた空間でのサスペンス: 『スプリット』の地下室、『オールド』のビーチのように、本作もコンサート会場という閉鎖的な空間が舞台となっています。これにより、逃げ場のない心理的な圧迫感が生まれ、リアルタイムのサスペンスが高まります。

家族のテーマ: 『シックス・センス』や『サイン』など、シャマラン作品では常に家族の絆や葛藤が重要なテーマとして描かれてきました。本作でも、父と娘、そして夫と妻の間の愛と裏切りが物語の核となっています。

人間ドラマの深掘り: 単なるホラーやスリラーに留まらず、登場人物の内面や心理を深く掘り下げる点も共通しています。クーパーの狂気、レイチェルの苦悩、そしてレディー・レイヴンの機転は、物語をより重層的にしています。

より深く考察する:撮影技法と現代社会の反映

本作の魅力をさらに深く掘り下げるために、M・ナイト・シャマラン監督が仕掛けた撮影技法と、映画が描く社会的なテーマに焦点を当ててみましょう。

撮影技法が作り出す緊迫感

『トラップ』は、そのほとんどがコンサート会場という限定された空間で展開されます。この閉鎖的な設定を最大限に活かすため、監督は観客の視点を巧みに操っています。

特に印象的なのが、主観的視点(POV)ショットの多用です。主人公クーパーがスマホの画面を通して会場の監視カメラの映像を見たり、娘のライブ配信をチェックしたりするシーンは、観客もまるでクーパーと同じ「罠の中」にいるかのような錯覚に陥ります。

また、カメラは常にクーパーのすぐ後ろから彼の動きを追うことで、観客は彼の緊張や焦燥感をリアルタイムで共有し、スリルが倍増します。これは、観客を単純な「傍観者」ではなく、物語の「共犯者」へと変える、シャマラン監督の巧妙な演出です。

「日常に潜む狂気」と現代社会の反映

この映画が描く「二面性」のテーマは、現代社会に生きる私たち自身の姿を鋭く反映しています。

主人公クーパーは、娘を愛する優しい父親という「表の顔」と、残虐な連続殺人犯という「裏の顔」を完璧に使い分けています。これは、SNSなどで誰もが理想的な自分を演じ、本当の姿を隠す現代の姿と重なります。クーパーは、まさに「完璧なペルソナ(人格)」を装う現代人の象徴と言えるかもしれません。

また、コンサート会場という大勢の人が集まる公共の場で、一人の狂気が静かに進行していく構図は、一見平和に見える日常のすぐ隣に、思いがけない危険が潜んでいるという現代社会の不安感を煽ります。

結末の解釈:逃げ続ける「トラップ」の螺旋

最終的にクーパーは逮捕されますが、護送車の中で手錠を外し、心の中で笑みを浮かべます。このラストシーンは、彼の狂気が終わったわけではなく、むしろ新たな「トラップ」の始まりを予感させます。私たちは、提示された情報がすべてだと思いがちですが、その裏には常に別の「真実」や「意図」が隠されているという、シャマラン監督からの挑戦状とも言えるでしょう。

『トラップ』は、単なる連続殺人犯の追跡劇ではなく、人間の内面に潜む狂気、そして愛と裏切りが交錯する心理戦を描いた傑作です。あなたは、この複雑な「トラップ」の迷宮から抜け出すことができますか?

映画『トラップ』国内外の評価まとめ:賛否両論の核心に迫る

映画『トラップ』は、国内外の映画レビューサイトで賛否両論の評価を受けています。その評価の分かれ目は、シャマラン監督特有の作家性への理解度と、ストーリーの論理性をどこまで許容できるかにあるようです。

 

映画『トラップ』の個人的評価は…

3.5

 

いごっそう612

良い父親が殺人鬼だったり、警察から何とか逃れようとしたりと楽しめる部分は大いにありましたが、期待したどんでん返しがさほどでもなく、ちょっとガッカリした部分があります。それでも、総評すると‥まずまず楽しめたかなとは思いました。

 

さてさて、では国内外の映画サイトの評価に移りましょう。

具体的なスコアも交えてご紹介します(2025年9月時点の参考値)。

国内の評価と参考サイト

主要レビューサイトの評価

Rotten Tomatoes:批評家スコアは57%、観客スコアは65%と、批評家・観客ともに評価が割れています。

Metacritic:メタスコアは52/100で、「賛否両論または平均的」なレビューが中心です。

国内サイト

映画.com:3.2 / 5.0

Filmarks:3.4 / 5.0

以下に、主要なレビューサイトやプラットフォームでの評価を基に、その内容をまとめます。

ポジティブな意見

独創的な設定とサスペンス: 「ライブ会場に連続殺人犯が閉じ込められる」という設定が新鮮で、終始ハラハラドキドキする展開が楽しめたという声が多く聞かれます。特に、観客が犯人側の視点で物語を追うという手法が斬新だと評価されています。

ジョシュ・ハートネットの演技: 主演のジョシュ・ハートネットが、優しい父親と冷酷な殺人犯という二面性を巧みに演じている点が評価されています。

M・ナイト・シャマラン監督らしさ: 「シャマラン監督の真骨頂」「久しぶりに面白いシャマラン作品」といった意見があり、独自のどんでん返しや不気味な雰囲気が、監督のファンに受け入れられています。

ライブ感とスリル: 閉鎖空間でのリアルタイムなサスペンス演出が特に評価されています。「アトラクション的な快作」と表現され、肩ひじ張らずに楽しめるエンターテイメント性が高く評価されています。

大胆なストーリーテリング: 予告編で犯人の正体を明かすという大胆な手法が、かえって観客の好奇心を刺激し、評価につながっています。

ネガティブな意見

ストーリーの不整合: 「ツッコミどころが満載」「警察がマヌケすぎる」など、物語の説得力に欠ける点が指摘されています。特に、警察やFBIの行動が不自然だと感じる観客が多かったようです。

期待外れのどんでん返し: 「シャマラン=どんでん返し」という期待が大きかったためか、「後半は少しありきたり」「予想できた」といった、結末に物足りなさを感じる声も見られます。

B級映画感: 一部の観客は、映像や演出にチープさを感じ、「B級映画のようだった」と評しています。

プロットの弱さ: 国内と同様に、物語の粗さやキャラクターの行動に一貫性がないという批判が見られます。

テーマの不明瞭さ: 「結局、何を伝えたいのか分からなかった」という声もあり、スリル重視の展開に対し、作品のメッセージ性が見えにくいと感じた観客もいるようです。

評価のまとめ

映画『トラップ』は、M・ナイト・シャマラン監督の新たな試みとして、その独特なスタイルが好きな層からは高く評価されています。犯人を最初から明かすという挑戦的な構成で、スリラーの新しい形を提示しました。しかし、その挑戦的な作風ゆえに、一般的な観客からはストーリーの粗さを指摘されることも少なくありません。

『トラップ』は、緻密なプロットやリアリティを求める人よりも、「ユニークな設定でハラハラドキドキしたい」「シャマラン監督らしい一筋縄ではいかない展開を楽しみたい」というエンタメ性を求める人におすすめの作品と言えるでしょう。

まとめ:あなたはこの“罠”の迷宮から抜け出せるか?

映画『トラップ』は、観客が「犯人を知っている」という優位性を逆手に取り、私たち自身が幾重にも仕掛けられた心理的な「罠」にはまっていくM・ナイト・シャマラン監督の意欲作です。

予告編で犯人を明かすという大胆な手法は、単なる「犯人当て」ミステリーからの脱却を宣言し、観客を主人公クーパーの共犯者へと変貌させます。しかし本当の恐怖は、その先にありました。父娘の愛情、夫婦の裏切り、そして日常に潜む狂気が複雑に絡み合い、一体誰が本当の「罠」を仕掛けているのか、最後まで観る者を翻弄し続けます。

撮影技法による緊迫感、現代社会の闇を映し出すテーマ性、そして主演ジョシュ・ハートネットの怪演。これらが一体となり、本作を単なるスリラー映画以上の作品へと昇華させています。

緻密なプロットの整合性を求める方には物足りなさが残るかもしれませんが、「シャマラン監督の予測不可能な世界に浸りたい」「ジェットコースターのようなスリルを味わいたい」という方には、間違いなく心に残る一作となるでしょう。

この記事で様々な「罠」を解き明かしてきましたが、もしかしたら、それすらも監督の掌の上なのかもしれません。ぜひ劇場で、あなた自身の目で、この巧妙な迷宮の出口を探してみてください。

 

映画『トラップ』のようなM・ナイト・シャマラン監督の作品は他にもオススメの作品があります。

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