
いやいやいや、凄い映画を観てしまいました。
これは文句なしに傑作ですね!
ラストの解釈も観るに徒によって、色々な答えにたどり着くだろうし、うん、面白い!
まったく飽きずに最初から最後まで観えました。
その映画は‥
「ノクターナル・アニマルズ」

「ノクターナル・アニマルズ」は、2016年のアメリカ合衆国のスリラー映画、20年前に別れた夫から届いた小説に翻弄されて行く女性の姿を描いた作品。
現在と過去、そして小説の世界と、3つの物語が入れ替わりながら描かれます。
監督、脚本、製作は、世界的ファッションデザイナーのトム・フォード。
出演はエイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホール、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン、アイラ・フィッシャー、アーミー・ハマー、ローラ・リニーなど実力派が勢ぞろい!

第73回ヴェネツィア国際映画祭では、審査員大賞受賞という快挙も成し遂げた作品です。
この映画はマジでオススメ!
観賞予定の方は、この後ネタバレを含む解釈を書いているので、そのまま観賞に向かった方が良いですよ。
オープニングが怖い

まず最初に言っておきたい!
「ノクターナル・アニマルズ」のオープニングは
デブの裸のおばさんが沢山出て来て踊っている‥。
後に、これはアートだったのだと分かるのだが
このドン引きしてしまう様なオープニングは
非常に怖さを感じるオープニングでした。
ラストのネタバレ 愛か?復讐か?
異常な怖いオープニングが終わった後は、ミステリアスな物語が始まることになる。
アートディーラーとして成功を収めているものの、夫は浮気しており関係がうまくいっていないスーザン(エイミー・アダムス)。
ある日、そんな彼女のもとに、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。

彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。才能のなさや精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の送ってきた小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、小説にのめり込むスーザン。
小説を読み終えた後、エドワードから「日にち時間と場所は任せる」再会を示唆するメールが届く。
スーザンは心を躍らし、かつてエドワードが好んだ格好で待ち合わせに場所に行く。

しかし、待てどもエドワードはその場所には現れなかった。

彼はなぜ小説を送ってきたのでしょう?
それはまだ残る愛なのか?それとも復讐なのか?
これが「ノクターナル・アニマルズ」
最大のミステリーでしょう!
ちなみに、原作であるオースティン ライトの小説は『Tony and Susan』です。
参考fa-arrow-circle-rightTony and Susan - Wikipedia
トニーとスーザン。
これはトニーがスーザンを現わしている事を意味します。
何故?エドワードは小説を送ってきたのか?
トニーがスーザンを現わしているという解釈で考えると
答えは二つあります。
復讐
一つはほとんどの人がそう思ったであろう
復讐です。
小説の主人公トニー・ヘイスティングスですが、臆病で人に言われたことに反抗できない。

その結果、妻と子という大事なものを失ってしまい
その復讐ですら、自分でやることができず末期癌のボビー・アンディーズ警部補の力に頼るという情けない男なのです。
そのトニーはスーザンを現わしており、その情けなさは本人そのもの。
スーザンはアーティスト志望だったにもかかわらず、現実的にアートディーラーの道を選び、母親の言ったとおりに売れない小説を書くエドワードを見限り、最終的にエドワードを捨てイケメンで金持ちの男を選び、さらには浮気を働いているその男に対して何も言えないような女なのです。
トニーは最後に死んでしまいます。
"最終的にお前はすべてを失ってこうなるんだよ"
というエドワードからのメッセージなのです。
さらに恐ろしいのは、エドワードはスーザンとの約束の場所に現れないのです。
素晴らしい小説を書き上げ、スーザンの心を掴んだところでのそれは
最高の復讐劇です。
ちなみに、スーザンのギャラリーに飾られていた絵には
「Revenge(リベンジ)」という文字が書かれています。
もしかして、エドワードは自殺して死んでいるのかも知れません。
スーザンからの返信を受けた後に自殺‥。
命をとした復讐劇だったのかも知れません。
愛
もう一つはスーザンに対する愛です。
これまた
トニーはスーザンを現わしているという考え方になります。
スーザンはアーティスト志望だったにもかかわらず、現実的にアートディーラーの道を選び、母親の言ったとおりに売れない小説を書くエドワードを見限り、最終的にエドワードを捨てイケメンで金持ちの男を選び、さらには浮気を働いているその男に対して何も言えないような女なのです。
誰かに似てますよね。
そうなんです。
トニーと似てるんです。
エドワードは、スーザンをトニーに投影し「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」を描いた。
それは、スーザンへのメッセージなんです。
自らが本当に行いたい行動を恐れず実施せねば、こうなるぞ‥と、そしてトニーのラストの姿は
"死ぬ気でやってみろよ"
という痛烈なメッセージなのです。
トニーは死んでしまいましたが、最後に憎い敵を殺すことができました。
たとえ死んでも自分の思いのまま行動したのです。
これは、現在のスーザンの事を知っており、それに対しての
愛のメッセージ!
誰かを大切に思うなら、誰かを愛しているなら、投げ出してはいけない、手放してはいけない。
一人ぽっちでレストランでたたずむスーザンは悲しそうですが‥。
彼女は自らの空虚な人生に気が付き、新たな人生に向けて進んで行けることでしょう。
復讐だったのか、それとも愛だったのか、答えはぜひ映画を観て考えて欲しい。

予告編
気になる方は予告編を観てみて下さい。
